“6”だけが、僕らの正解

SixTONESのメモ帳💎

京本大我を救った高地優吾の優しさ

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髙地に僕は甘えてる部分があるというか、ふと思ってることを言っちゃうことがあるんですよね。髙地の顔を見てると溜め込んだり、抱え込んでるものが不意にこぼれるっていうか。辞めたかったのはもちろん嘘でも、軽い気持ちでもないんですけどポロッと言ってしまった。自分が貢献できてないって思って辞めたいって話したこともあったし、反対にグループに対しての不満じゃないですけど、僕もできてないとこいっぱいあるけど、5人のできてないことがいろいろ目について、もっと高みを目指すんだったらこれじゃダメだろって辞めたかったこともあった。今思えば、デビューはまだ遠く突破口なんて兆しすら見えなくて不安だったんだと思います。覚えてます。髙地はいつも言ってくれた。“俺は止めないよ。きょもが決めたことなら、どんな決断も尊重する”って。そう言われて、これからもしどんなことが起こったとしても、“このグループには髙地がいる”って思ったら気持ちが軽くなった。そう言ってくれるメンバーがいるだけで救われるなって辞めずに踏みとどまれた( Myojo 2021年5月号/10000字ロングインタビュー「僕がJr.だったころ」)

 

   これはきょもの一万字インタビューの中で語られた髙地との代表的なエピソードだが、私はこの時のきょもの心情を最近までよく理解できずにいた。どうしてグループから離れようとした自分を止めなかった髙地に、きょもは救われたのだろう。

 

   わたしはSixTONESというグループが心の底から大好きだ。メンバー1人1人のことももちろん大好きだし、この6人だからこそ愛おしくて、この先なにがあってもずっと6人でいてくれさえすればもうそれでいいやと思えるほどに。好きすぎるあまり、もはや“SixTONESになりたい”とすら思う。もし私がSixTONESだったとして、メンバーの誰かが脱退したいと言ったなら、何としてでも絶対に引き留めるだろう。この6人じゃなきゃダメな理由、その人がどれだけSixTONESにとって大切な存在か、何時間でも何日かけてでも伝える。逆に私が脱退したいと言った側だったとしても、「SixTONESにはお前が必要だ」と引き留められたいと思う。

 

   だからこそこのきょもゆごエピソードを聞いたわたしは「髙地なんで止めなかったの!?」だし、「きょもなんで止められなくて救われたの????」と思ってしまうのだ。

 

   きょもの真意に気付いたのはほんの1ヶ月前、きょもが一人で出演した『ClassicTV』という番組を観ていた時だった。そこには、きょもがJr.時代初めて出演したミュージカル『エリザベート』の劇中歌『闇が広がる』を、“アイドルとして”ではなく“ミュージカル俳優として”堂々と歌唱するきょもの姿があった。発声も表情も表現も、“SixTONES 京本大我”としてのそれとは全く違う。共演された井上芳雄さんをはじめ、きょものミュージカル界での評価は高い。きっときょもはミュージカル俳優としてもその世界で充分に渡り合っていける実力があり、その素質や努力を認められている人だ。

 

    話を戻すが、きょもが「辞めたい」と言っていたのは、この『エリザベート』出演によってミュージカル俳優としての素質を見出され、ミュージカルという世界に手応えを感じ始めた頃。一方SixTONESは、ジャニーさんへの直談判の末、やっとの思いでグループを結成したばかり。それも、一度解体されてしまったメンバーが再び集まって。デビューなんてもちろんまだまだ遠く、そもそも出来るかどうかすら全く分からない。自分の進むべき道を見つけたきょもが、茨の道であるSixTONESを続けていくメリットは少なかっただろう。それも、ジャニーさんに「YOUは協調性がないからグループは向いていない」と言われて以来、グループに執着することを辞め、常に個人戦で生きてきた人だ。

 

   当時きょもゆごは二十歳。樹 北斗 ジェシーも高校を卒業し、最年少の慎太郎も高校3年生。6人全員が自分の将来を真剣に考え、進むべき道を決めるタイミングだった。慎太郎は仕事のなかった時期にできた「教師」という夢を捨て、SixTONESとしての未来を選んだ。「どんな結果になろうとSixTONESが自分にとって最後のグループ」北斗が抱いていたというその想いはきっと、6人全員同じ。“SixTONESでダメならもう後はない” そんな崖っぷちの状態でメインボーカルの1人であるきょもが抜けるとなれば、グループは更なる窮地に立たされる。それは髙地にとっても、避けたい事態だったことは明白だ。

 

   それでも髙地はきょもを止めなかった。止めないどころか、「きょもが決めたことならどんな決断も尊重する」とまで言った。残される自分がこの先どれだけ険しい道に立たされることになろうとも、“京本大我の人生”を尊重した。

 

   よくよく考えれば、「グループにはお前が必要だ」「この6人じゃなきゃだめなんだ」と説得することは、自分本位な行動でもある。相談に対するアンサーというよりは、 “頼み” “縋り”に近いだろう。グループにとって、グループに残る自分にとってその人が絶対に必要不可欠だとしても、その逆説は必ずしもイコールとは限らない。グループにいなくても自分のやりたいことが出来るなら、グループでいる必要はないのだから。

 

「髙地に僕は甘えてる部分があるというか、ふと思ってることを言っちゃうことがあるんですよね。髙地の顔を見てると溜め込んだり、抱え込んでるものが不意にこぼれるっていうか

   わたしはこれまできょもの髙地に対する “甘え” とは、「思っていることをポロッと言ってしまう」ことを指すのだと思っていた。けれど、きっとそうではない。その先にある「何を言っても髙地は受け止めてくれる」という安心感こそが、きょもの髙地に対する“甘え”なのだろう。SixTONES高地優吾としてではなく「京本大我の理解者」として、きょもの決断を尊重することが出来る。例えそれが自分にとって不利な状況になると解っていても、自分ではなく相手にとっての最善の選択を尊重することができる。そんな髙地のフラットでフィルターレスな考え方は、長い間ジャニーズJr.の世界を個人戦で生き抜いてきたきょもには無いものだったのではないだろうか。きょもだけでなく、SixTONESの中では最も歴が浅く、SixTONESになるまでジャニーズや芸能界に執着心のなかった髙地だからこそできる考え方なのだと思う。現にきょもは、髙地の好きなところを聞かれた際「髙地は金銭感覚を含めたいろんな感覚がふつうで、芸能界に染まってないというか。『それは間違ってるとおもうよ』と言ってくれたり、そういう感覚がメンバーのなかでいちばんふつうだから、髙地が俺の基準というか、計りになってる。メンバーや芸能界の仲間っていうより、芸能活動をしてない高校時代の親友と話している感覚に近いかもしれない」とも答えている。

 

   このエピソードについて、髙地の目線からはこう語られている。

「大我は個のスキルが飛び抜けてる。成長のための努力も厭わない。だからこそ何度か“グループを辞めたい”って相談、俺にしてきたよね。その気持ちよくわかったよ。やる気が表に見えにくいメンバーを見ると、“俺はこんなにがんばってんのに”って思ってしまうんだなって。相談されたとき、俺は引き止めたことないよね。いつも、“どんな決断をしてもいい。でもひとつだけ覚えておいて。本気なのかわかりにくいヤツも確かにいる。だけど俺らは全員、SixTONESにかけてるよ”って。なんでグループにとどまったかなんて俺は聞かない。今、大我がSixTONESにいてくれることがすべてだと思うから

 

   髙地自身は、きょもがSixTONESに留まった理由を知らない。もちろん、きょもが5人の本気を感じ取ったことも理由のひとつではある(これも本人が語っているので)けれど、“髙地がグループにいる”ことが、きょもにとっての救いとなったことを髙地は知らない。彼にとって、その理由は重要なことではないのだと思う。この先何があっても、自分の利害得失を顧みることなく向き合ってくれる。そう信じられる髙地の愚直さに、そして、そんな人が同じグループに居てくれるという心強さに、きょもは救われたのだろう。

   

   髙地やメンバーはよく「YOUはいるだけでいい」とジャニーさんに言われたエピソードを冗談混じりに話すが、実際に髙地の存在に救われた人は、きっと彼自身が思うより沢山いる。かつてB.I.Shadowとして共に活動してきた北斗にとっても、髙地はそんな存在だったはずだ。(この話を始めると死ぬほど長くなるので省略)(わたしの大好きエピソード)

 

    いつでも自分よりも大切な人を優先する。そんな髙地が、デビュー直前の2019年に放送された『RIDE ON TIME』では、SixTONESへの強い想いをこう語った。

SixTONESが無くなったら最悪です。考えたくないです。俺がそうさせない、何としてでも止めます」

   きっと、これは自分自身がSixTONESのファンだと話す髙地の素直な本音。そして、SixTONESというグループに自信を持ち、SixTONESとしての未来に確信を持った今だからこそ口にできる言葉でもあるはずだ。SixTONESでいれば、6人集まればもっとすごい未来が開ける。今は疑いなくそう信じられるからこそ、髙地は6人でいることをもう諦めない。

 

   冒頭のきょものエピソードには続きがある。

「こんなに仲よくなるとは思ってなかったのが髙地。今、こういう関係になってるのが不思議だよ。僕が“辞める”って言い出したとき、“止めないよ”って言ってくれたけど、内心はめっちゃムカついてたと思う。“大事な時期だろ、今”って。僕は髙地に甘えすぎちゃってるから、いつか髙地の心の拠り所じゃないけど、頼ってもらえる存在になりたいと思ってる